RSウイルスは主に鼻水や発熱の症状が出る呼吸器感染症。飛沫や接触による感染で、2歳までにほぼすべての乳幼児がかかり、何度も感染する子もいる。大人や2,3歳以上の子供は軽い風のような症状で済むことが多いが、生後6か月未満や生まれつき心臓に病気のある子供などの場合、重症化しやすく、呼吸困難や肺炎に至ることがある。
平成30年と令和元年は夏ごろから感染が拡大。昨年は年間を通して低調だったが、今年は春ごろから感染者が増え始めている。
新潟大の菖蒲川由郷(しょうぶがわ・ゆうごう)特任教授(公衆衛生学)は「昨年は新型コロナウイルス対策でRSウイルスも流行が抑えられ、結果的に0〜1歳児が感染して免疫を獲得する機会が少なかった」と指摘。社会活動が戻りつつある今年、その反動が起きているとの見方を示す。
夏のRSウイルスは高温多湿で流行しやすいとの研究結果があり、今年は西日本や東海地方が平年より早く梅雨入りしたことが影響している可能性もある。
「予防の基本は手洗い。他のウイルスより感染力が弱いので、自宅や保育園でも子供がよく触る場所やおもちゃをアルコール消毒することも有効だ」と橋本氏。「ゼーゼー」と呼吸をするなどの重症化のサインがあれば、「夜間でもすぐに医療機関を受診してほしい」と強調した。
産経新聞