
2ボール1ストライクからの4球目。大野雄の浮いた変化球を逃さなかった。強振して捕らえた打球は大きな放物線を描いてスタンド中段へ。「チャンスだったので犠牲フライでも、という気持ちで打席に入った。いい角度で上がってくれた」。本塁打を確信すると、いつものように右拳を握った。
シーズン50本以上を達成したのは、過去に王貞治(巨人)やバース(阪神)、バレンティン(ヤクルト)ら9人だけ。本塁打王でも40本を下回ることも珍しくなく、村上も昨年は39本で初めてのタイトル獲得となった。
今季は疲労が蓄積する夏場から、驚異的なペースでアーチを量産。8月は2日に史上初の5打席連続本塁打を達成するなど、月間12本を放って不調だったチームを懸命に引っ張った。
若き大砲は「僕の本当の目標は一日一日生ty等すること。残り何年野球ができるかわからないけど、その目標だけは崩さずにやりたい」と話す。技術、体力、精神力。すべてにおいて成長過程。記録尽くしのシーズンは、最後まで目を離せない。
時事通信社