自衛目的で敵のミサイル発射基地などを攻撃する「反撃能力」についての政府見解が1日、判明した。武力攻撃を防ぐための「必要最小限度の自衛措置」と位置付けた。岸田首相は安全保障政策を転換し、反撃能力を保有することについて、政府見解に基づき、国民に理解を求める考えだ。
政府見解は、日本の安全保障環境について、中国や北朝鮮などを念頭に、「ミサイル戦力を質・量ともに強化し、関連技術と運用能力を向上させている」と分析。「ミサイル防衛網だけで完全に対応することは困難だ」と指摘した。
その上で、反撃能力の行使は憲法と国際法の範囲内で、専守防衛を堅持し、「先制攻撃は許されないとの考えに一切変更なない」と強調した。
反撃能力は「やむを得ない必要最小限度の自衛措置」で、その対象は、攻撃を軍事目標に限定している国際法を順守しつつ、「個別具体的な状況に照らして判断する」とした。
自民党は4月の提言手対象として、敵の司令部などの「指揮統制機能」も上げた。政府見解では、対象に例示は見送り、敵の攻撃着手をどう判断するかについても言及しなかった。手の内をさらさずに、政府による判断の柔軟性を確保し、抑止力の苦情につなげる狙いがある。
反撃能力の皇嗣で使用する装備品には、陸上自衛隊の「12式地対艦誘導弾」の改良型に加え、「既成外国製のミサイル」を挙げた。防衛省は米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を目指している。
公明党は1日、党外交安全保障調査会を開き、反撃能力の保有を大筋で了承した。自民、公明両党は2日、正式合意する見通しで、新たな国家安全保障戦略に保有方針が明記される。
読売新聞