
小幡さんが集めた御朱印帳は17冊。自分で写経した御朱印帳に、寺で印を推してもらった。御朱印対応のない寺もあったが、650のしるしを集めた。
11月下旬、菩提寺の来迎寺(大崎市古川)に御朱印帳を納経。住職の奥山清康さん(68)は「御朱印を求める人は多いが、写経をして回る人はいない。尊い活動だ」とねぎらった。
寺巡りは2011年、同窓会で「やり残したことはないか」と話し合ったのがきっかけ。小幡さんは来迎寺のセンダイ住職の教えを受けて長年、仏教に興味があった。興福寺(登米市)を皮切りに、18年10月に冷松寺で1000か所巡りを成し遂げた。
相棒はオートバイ。運転歴70年というベテランで宮城、山形、岩手、秋田各県を日帰りで乙ずれた。郊外の奥まったところに立地する寺が多く、駐車しやすい125tのオートバイで計6万5000キロを走った。
当初は最上三十三観音など既存ルートを回った。そのうち拠点寺と関連の末寺を網羅するのも面白いと気付き、巡礼の幅を広げた。小幡さんは「優しく人間を包み込む観音様に魅了され、心が安らいだ」と振り返る。訪問した約7割が観音関係という。
目標達成後も160乗れたを回った。寺社で神仏習合の名残を感じるなど発見も多い。「満足感は得られたが、自分から誇るようではまだまだ。歴史に触れる旅を続けたい」と語る。今はオートバイから軽乗用車に乗り換え、寺めぐりを続けている。
河北新聞