政府が実施した介護職員の月3%程度(9000円)の賃上げで、対象施設の約4分の1が制度を活用していないことが、厚生労働省の調査で分かった。職員が少ない施設での運営事業者にとっては、申請の事務負担が大きいことなどが影響したとみられる。厚労省は手続きを簡素化し、利用を促す方針だ。
補助金を財源とした介護職員の3%程度の賃上げは昨年2〜9月に実施した。厚労省によると、補助対象の要件を満たした介護施設約15万8000か所のうち約3万9000か所で制度が活用されていなかった。
政府は実施に当たって、補助金が職員の処遇改善以外の目的に流用されないよう、計画書と実施報告書で二重チェックし、守られない場合は返還を求める仕組みを導入した。しかし、、一部の運営事業者には書類作成の負担が重いうえ、事務職と介護職との間で賃金の不公平感が生じる懸念もあることから、制度の活用に消極的なケースがあったという。
昨年10月以降は、財源を介護保険料と公費で賄う介護報酬に切り替え、賃上げは継続されている。厚労省は運営事業者が制度を利用しやすくするため、計画書では賃上げの「誓約」だけを求め、実施報告で詳しく確認する方式に改めるなど、手続きを簡素化する方針だ。2月中に通知し、来年度から開始を目指す。
読売新聞