インフルエンザは古くは流行性感冒と呼ばれ、略称の❝流感❞は冬の季語として知られる。インフルエンザウイルスは湿潤と高温に弱く、乾燥と低温に強い。そのため例年は12月ごろに流行入りし、1〜2月にかけてがピークだった。しかし、夏から患者数が急増している。
「厚生労働省は9月22日、全国約5千の定点いりょいう機関から9月11〜17日(第37週)に報告されたインフルエンザ患者数が、1医療機関当たり7.03人に上ったと発表しました。流行の目安とされる1人を大幅に上回り、昨年同時期の0.02人と比べても、異例の時期の大流行であることがわかります」(厚労省担当記者)
前週(第36週)の4.48人から1週間で1.57倍と、急激な上昇カーブを描く。中でも7都県が流行注意報を出す基準である10人を超える異常事態だ。東京都も21日、統計を取り始めた1999年以降、最も早く注意報を出した。
インフルエンザへの免疫力が落ちた?
一方で新型コロナはどうか。17日までの1週間の1医療機関当たりの患者数は17.54人とインフルエンザよりも多いが、2週連続で減少しており、ピークを越えつつあるとみられる。この違いはどこにあるのか
「新型コロナの流行で感染対策が徹底され、インフルエンザの大規模な流行は3年間もありませんでした。そのため人々のインフルに対する免疫力がガクッと落ち込んでおり、感染の急拡大を招いているのです」
都は浜松医療センター感染症管理特別顧問の矢野邦夫医師。 でも、なぜ夏に?
「南半球の国々で冬季にインフルが大流行し、そこから季節んが正反対の、ちょうど夏の盛りの北半球にウイルスが持ち込まれたと考えられます。やはり原因は人の往来の回復ですね。以前なら暑さと湿気でウイルスが活発でなくなることや、人々が免疫を有することで感染拡大を防げました。しかし、免疫力が弱っている今の状況ではウイルスに抗いきれないのです」
ほかにこんな意外な要因も。
「子どもです。生まれてから感染経験がなくワクチン摂取もしていない子供が多い。学校などで感染した子供が、ウイルスを家に持ち帰り、親までダウンするケースが多々見られます。10月からはワクチン接種も始まりますが、今後も早期の収束は見込めないでしょう」
コロナも一段落と思ったら、今度はインフル。疫禍は人類に暇を与えない
週刊新潮