政府・与党は6日、介護保険サービスの公定価格である介護報酬を来年度から引き上げ、プラス改定とする方向で調整に入った。報酬改定が実施されるまでは、来年2月から介護職員と看護補助者の賃金について月額6000円引き上げる措置を行う。民間企業を中心に賃上げが進む中、人材流出が続いている介護分野と他産業との間で開いた待遇差を埋める狙いがある。
月額6000円引き上げる措置は、関連経費を2023年度補正予算案に盛り込む。介護職員や看護補助者を対象に賃上げを行った事業所や医療機関を対象に、1人当たり月額6000円の賃上げに相当する額を政府が都道府県を通じて補助する。事業所や医療機関は、処遇改善計画書などを都道府県に提出し、補助金を受け取る。
介護職員と看護補助者の給与については、基本的に国が決める介護報酬や診療報酬から支払われる。介護報酬は3年ごと、新療法種は2年ごとに見直され、来年度は6年ぶりの同時改定となる。
政府は、報酬改定までのつなぎとして補助金を支給する考えで、支給期間を来年2月から報酬改定が行われる春ごろまでとする方向だ。報酬改定で恒久的な賃上げにつなげることを想定している。
厚生労働省によると、22年の介護職員の給与へお金は29・3万円、看護補助者は25・5万円で全産業平均(36・1万円)との差は大きい。全国老人保健施設協会などによると、介護職員の23年度の賃上げ率は1・42%で、今年の春闘での平均賃上げ率(3・58%)を大きく下回る状況だ。
特に介護分野では、低賃金のために他産業にうつる人が後を絶たず、離職者数が右肩上がりで増加している。同協会などの調査では、介護現場における23年度の月平均の離職者数は、10年以上勤務した正社員で199人(前年比38人増)、10年未満勤務で821人(前年比65人増)となっている。パートなどの非正社員は、1244人で前年から100人増加している。
岸田首相は10月31日の参院予算委員会で、「医療介護における賃上げや人材確保は重要な課題だ」と述べ、「必要な処遇改善の検討を行わなければならない」と指摘していた。
読売新聞
2023年11月07日
2023年11月06日
消えゆくデパートの屋上遊園地 「集客装置」今では全国で5か所に
百貨店の「屋上遊園地」が各地で姿を消しつつある。今年9月に営業を終えた遊園地もあり、朝日新聞の調べでは、常設するのは全国で5店舗になった。
松坂屋高槻店(大阪府高槻市)の「スカイランド」は、1979年の百貨店開業時から営業している。今では関西唯一の屋上遊園地となった。
約1200平方メートルの敷地に、ゴーカートやキャラクターの乗り物など約30台の遊具と約10台のクレーンゲームが稼働する。
朝日新聞社は10月、日本百貨店協会に加盟する全170店舗を対象に、常設の屋上遊園地があるかを電話で尋ねた。
今も営業をしていると答えたのは、松坂屋高槻店のほか、松坂屋名古屋店(名古屋市)大和香林坊店(金沢市)、いよてつ高島屋(高松市)、浜屋百貨店(長崎市)の4店舗だった。
このほかにも小規模な遊具コーナーを設けている百貨店があったが、屋上遊園地という認識ではなかった。
近現代史が専門で、百貨店関連の著書があるノンフィクションライター夫馬信一酸(64)によると、屋上遊園地の起源は100年以上前までさかのぼり、1903年に東京・日本橋の白木屋に木馬やシーソーが置かれたことが始まりとされるという。20年代後半以降は新たな百貨店の開業とともに、電動遊具や動物園がある屋上遊園地が新設されていった。
設置が加速したのは戦後の高度経済成長期。百貨店が次々とでき、屋上遊園地も「必須アイテム」のように造られた。
飛行機型のゴンドラが回転する乗り物など、大型の電動遊具も増加。休日には様々なショーが開かれるなどして大盛況だったといい、家族連れの集客装置として大きな役割を果たしていた。
だが、郊外型ショッピングセンターの盛況、バブル崩壊や2000年代の不況など、百貨店を取り巻く環境は厳しさを増していく。
テーマパークの開園などレジャーも多様化。集客装置としての屋上遊園地の役割は維持費と見合わなくなり、00年前後から徐々に閉院していったとみられる。今では屋上を、ビアガーデンや休憩スペースとして活用する百貨店の増えている。
建て替えや耐震工事などを機に閉園を選択した百貨店もある。大阪・梅田の阪神百貨店(大阪市)の屋上遊園地は、1980年代後半に1日1千組以上の来客数を誇ったが、店舗の建て替えを機に2014年に閉園した。まるひろ川越店(埼玉県川越市)も「耐震工事」に伴って19年に閉園。今年9月には横浜高島屋(横浜市)が営業を終えた。
朝日新聞
松坂屋高槻店(大阪府高槻市)の「スカイランド」は、1979年の百貨店開業時から営業している。今では関西唯一の屋上遊園地となった。
約1200平方メートルの敷地に、ゴーカートやキャラクターの乗り物など約30台の遊具と約10台のクレーンゲームが稼働する。
朝日新聞社は10月、日本百貨店協会に加盟する全170店舗を対象に、常設の屋上遊園地があるかを電話で尋ねた。
今も営業をしていると答えたのは、松坂屋高槻店のほか、松坂屋名古屋店(名古屋市)大和香林坊店(金沢市)、いよてつ高島屋(高松市)、浜屋百貨店(長崎市)の4店舗だった。
このほかにも小規模な遊具コーナーを設けている百貨店があったが、屋上遊園地という認識ではなかった。
近現代史が専門で、百貨店関連の著書があるノンフィクションライター夫馬信一酸(64)によると、屋上遊園地の起源は100年以上前までさかのぼり、1903年に東京・日本橋の白木屋に木馬やシーソーが置かれたことが始まりとされるという。20年代後半以降は新たな百貨店の開業とともに、電動遊具や動物園がある屋上遊園地が新設されていった。
設置が加速したのは戦後の高度経済成長期。百貨店が次々とでき、屋上遊園地も「必須アイテム」のように造られた。
飛行機型のゴンドラが回転する乗り物など、大型の電動遊具も増加。休日には様々なショーが開かれるなどして大盛況だったといい、家族連れの集客装置として大きな役割を果たしていた。
だが、郊外型ショッピングセンターの盛況、バブル崩壊や2000年代の不況など、百貨店を取り巻く環境は厳しさを増していく。
テーマパークの開園などレジャーも多様化。集客装置としての屋上遊園地の役割は維持費と見合わなくなり、00年前後から徐々に閉院していったとみられる。今では屋上を、ビアガーデンや休憩スペースとして活用する百貨店の増えている。
建て替えや耐震工事などを機に閉園を選択した百貨店もある。大阪・梅田の阪神百貨店(大阪市)の屋上遊園地は、1980年代後半に1日1千組以上の来客数を誇ったが、店舗の建て替えを機に2014年に閉園した。まるひろ川越店(埼玉県川越市)も「耐震工事」に伴って19年に閉園。今年9月には横浜高島屋(横浜市)が営業を終えた。
朝日新聞
猛威インフル、年末ピークか 専門家「例年より大規模に」 コロナと同時流行も
各地で休校が相次ぐ中、専門家は今季(今年秋〜来年夏)の流行は年末にピークを迎え、感染規模も例年より大きくなる可能性があると指摘する。冬は新型コロナウイルスとの同時流行も懸念される。
厚生労働省はインフルエンザについて全国約5000の定点医療機関を受診した患者数を集計している。新型コロナ出現後は目立った拡大はなかったが、昨年12月下旬には患者数は1機関当たり「1人」を超え、3年ぶりに流行入りした。
厚労省によると、今年10月22日までの1週間に報告された患者数は同16.41人。前週比1.48倍で、注意報の基準(10人)を2週連続で超えた。都道府県別では愛媛が最多39.90人で警報の基準(30人)を上回り、千葉29.39人、埼玉28.41人、福島27.09人、兵庫23.36人が続く。
休校や学年閉鎖、学級閉鎖となった小中学校などは前週比2倍超の3751施設。入院患者届け出数も幼児や高齢者を中心に増え続けている。
今季は昨年からの流行が春夏を経ても続く異例の事態となっている。流行が長期間なかったことによる免疫低下や人の往来が要因とされる。
流行のピークは例年1〜2月だが、東京医科大の浜田篤郎特任教授(渡航医学)は「予測の参考となる米国の状況から考えると、今季は年末ごろにピークを迎えるのでは」と話す。国内患者数は例年推計1000万〜1500万人程度だが、浜田氏は「人々の免疫が低下しており、今季は最も大規模になる恐れがある」と警鐘を鳴らす。
一方、新型コロナの患者報告数は9月上旬をピークに減少が続く。浜田氏は「新型コロナは毎年冬にかk題しており、冬に入って流行が再燃する可能性がかなり高い」と分析。「今冬は両者が同時流行する『ツインデミック』が起きる恐れが強い。手指消毒やマスク着用に加え、重症化しやすい高齢者などはワクチン接種を受けてほしい」と呼びかけている。
時事通信社
厚生労働省はインフルエンザについて全国約5000の定点医療機関を受診した患者数を集計している。新型コロナ出現後は目立った拡大はなかったが、昨年12月下旬には患者数は1機関当たり「1人」を超え、3年ぶりに流行入りした。
厚労省によると、今年10月22日までの1週間に報告された患者数は同16.41人。前週比1.48倍で、注意報の基準(10人)を2週連続で超えた。都道府県別では愛媛が最多39.90人で警報の基準(30人)を上回り、千葉29.39人、埼玉28.41人、福島27.09人、兵庫23.36人が続く。
休校や学年閉鎖、学級閉鎖となった小中学校などは前週比2倍超の3751施設。入院患者届け出数も幼児や高齢者を中心に増え続けている。
今季は昨年からの流行が春夏を経ても続く異例の事態となっている。流行が長期間なかったことによる免疫低下や人の往来が要因とされる。
流行のピークは例年1〜2月だが、東京医科大の浜田篤郎特任教授(渡航医学)は「予測の参考となる米国の状況から考えると、今季は年末ごろにピークを迎えるのでは」と話す。国内患者数は例年推計1000万〜1500万人程度だが、浜田氏は「人々の免疫が低下しており、今季は最も大規模になる恐れがある」と警鐘を鳴らす。
一方、新型コロナの患者報告数は9月上旬をピークに減少が続く。浜田氏は「新型コロナは毎年冬にかk題しており、冬に入って流行が再燃する可能性がかなり高い」と分析。「今冬は両者が同時流行する『ツインデミック』が起きる恐れが強い。手指消毒やマスク着用に加え、重症化しやすい高齢者などはワクチン接種を受けてほしい」と呼びかけている。
時事通信社