2023年12月26日

南海トラフのリスク「臨時情報」 想定地ですら認知度3割弱

 南海トラフ地震の想定震源域で、時間差で起きる後発地震への注意や警戒などを呼びかける「臨時情報」について、内閣府が対象地域の住民の認知度を調べたところ、3割弱にとどまっていることがわかった。

 最大32万人の死者・行方不明者が想定される南海トラフ地震では、主にマグニチュード(M)7以上の地震が起きた際、隣接する想定震源域で次の地震が起きる想定がある。この後発地震について知らせるのが臨時情報だ。「注意」であればすぐに非難できるよう準備しておけばよいが、「警戒」だと沿岸住民は1週間の事前避難が必要だ。2017年から運用が始まった。まだ出されたことはない。

 内閣府が12月25日に公表した地震防災に関するウエブ調査(全国3万人余りが回答)で臨時情報の認知度も明らかになった。

 ■「事前避難する」の回答も一部どまり

 南海トラフ地震で著しい被害の恐れがある「対策推進地域」の住民1万6171人に尋ねたところ、臨時情報を「知っている」は28.7%で、「詳しく知らない」は35.5%、「知らない」は35.8%だった。

 後発地震に備えて事前に1週間避難すべき「事前避難対象地域に自宅が入っているかを聞いたところ、「分からない」が54.6%と半数を超えた。さらに、「入っている」と答えた1309人(8.1%)でも、事前避難が必要な「警戒」が出た場合に「事前避難する」と答えたのは35.0%だった。

 このほか、この10年間での減災対策では、公立学校の耐震化率(目標値100%)は99.8%、災害拠点病院の耐震化率(同95%)は94.6%だった一方、「家具の固定率」(同65%)は35.9%、津波避難訓練を毎年実施する市町村の割合(同100%)は52%だった。
                         朝日新聞
posted by 鏑木歯科 at 11:35| 鏑木歯科日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月19日

介護保険の2割負担、対象拡大見送りへ 政府、高齢者世帯を考慮

 政府・与党は、介護保険のサービス利用時に2割負担となる人の対象範囲の拡大を見送る方向で検討に入った。物価高騰による高齢者世帯への家計負担を考慮した。

 介護保険の利用者負担は原則1割。2割負担の人は所得上位20%(単身世帯で年収280万円以上)で、その中でも所得が高ければ3割となる。少子高齢化に伴って介護給付費は膨らむ一方で、財務省は2割負担の対象拡大を求めていた。

 厚生労働省は試算では、単身世帯で年収270万円以上に広げただけでも、対象者は8万人増える。1人当たり最大で月2万2000円程度の負担増で、介護給付費の削減効果は90億円だという。

 ただ、物価高騰で高齢者世帯を中心に生活苦を訴える声もあり、与党内では「今すぐに対象を広げるべきではない」などの意見が大勢を占めていた。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題もあり、政権内で国民への負担増につながる政策は避けたいとの思惑も働いた。

 政府は近く与党と詰めの協議をしたうえで正式決定する。
                                  毎日新聞
posted by 鏑木歯科 at 10:42| 鏑木歯科日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月16日

無念の父「抜歯でなくなるなんて」・・・支援学校生死亡、酸素チューブ後挿入か

 堺市の歯科診療所で7月、大阪府内の特別支援学校に通う男子生徒(17)が全身麻酔で治療中、低酸素状態に陥り、約1か月後に死亡していたことが関係者の取材で分かった。大阪府警は、気管に通して肺に酸素を送り込むチューブが誤って食道に挿入された可能性があるとみて捜査。診療所側は遺族にミスを認めて謝罪した。

 死亡したのは府立支援学校の高等部3年の男子生徒(大阪府大阪狭山市)。発達障害があり、7月13日、親知らずを抜くため、障碍者向けに治療を行う堺市堺区の市重度障害者歯科診療所を受診した。

 専門医によると、発達障害などがあり、痛みに敏感でじっと座るのが難しい患者らには通常、全身麻酔下で抜歯などの治療を行う。チューブの挿入ミスがないかをチェックするため、血中の酸素飽和度や呼気中の二酸化炭素濃度をこまめに確認する必要があるという。

 診療所から遺族に提出された報告書などによると、歯科医が生徒の家族の同意を得て、同日午後1時過ぎ、親知らずを抜く手術に先立ち、全身麻酔を実施。麻酔で自発呼吸ができなくなるため、肺に酸素を送るチューブを鼻から入れたが、低酸素状態に。血中の酸素飽和度は正常なら96%以上とされるが、20%台に低下していた。生徒は約1時間半後に心肺停止状態となり、市立総合医療センターに搬送されたが、8月9日、低酸素脳症で死亡した。

 救急隊員は搬送時に生徒の腹部が膨張していることに気づき,チューブを挿入し直したという。

 遺族側によると、診療所から連絡があり、両親は事故の数日後、歯科医らと面会。冬至の経過を期した報告書を渡され、搬送先の病院からチューブを誤挿入した可能性を指摘されたとして謝罪を受けた。生徒が亡くなった8月にも面会し、改めて原因を聞いたが、「判断ミスだった」と繰り返され、具体的な説明は無かったという。

 日本歯科大の砂田勝久教授(歯科麻酔学)は「血中の酸素飽和度が下がった時点でチューブが 食道に誤挿入された可能性を疑い、挿管し直す必要があったのではないか」と話している。

 堺市重度障害者歯科診療所は、市歯科医師会が2008年に開設。ホームページには全身麻酔について「体の動きが亡くなり、治療を安全に行える」「気管挿管を行うので、呼吸は完全な管理が行える」と記されている。市歯科医師会は読売新聞の取材に「何も答えられない」としている。

 亡くなった生徒の父親(48)は「抜歯しようとしただけでなくなるなんて、だれが想像できただろう」と無念の思いを口にした。

 生徒は両親と妹との4人暮らし。自宅ではハンバーグなどの得意料理を家族に振舞い、特別支援学校では野球や卓球に打ち込んでいた。

 抜歯手術の当日の7月13日、母親が診療所内で待っていると、救急車が突然到着し、顔が真っ青になった生徒が運ばれていったという。

 父親は「息子には明るい未来があると信じていた。診療所は原因を調べてきちんと説明すべきだ」と訴えた。
                                                  読売新聞
posted by 鏑木歯科 at 11:49| 鏑木歯科日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする