最近、スポーツジムや美容サロンで、「歯のホワイトニング」がメニューに入るようになりました。マスクを外す機会が増え、口元が気になる人が増えたのかもしれません。適切にホワイトニングを受けるにはどうすればよいのか、歯科医師で明海大教授の金子潤さんに聞きました。
ホワイトニングには「オフィス」と「ホーム」
ーーそもそもホワイトニングとはどういうものですか。
広義では、歯に沈着した汚れや着色を除去する、いわゆるクリーニングなども含めた「歯を白くする処置」の総称です。狭義では、過酸化尿素や過酸化水素水といった過酸化物の薬剤を使って歯を白く漂白(ブリーチ)することを指します。その歴史は古く、ペリー提督が日本の浦賀に来航した1850年代中頃、米国ではすでに歯科医院ではのホワイトニング治療が行われていました。日本では、既婚女性がお歯黒を施していた時代です。
現在は、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士によって行われる「オフィスホワイトニング」と、歯科医院で作製した専用のマウスピースを使って患者さんが自宅で行う「ホームホワイトニング」という二つの方法があります。
「オフィス」は、個人差はあるものの1,2回実施すると、ある程度、歯は白くなります。「ホーム」は、オフィスホワイトニングよりも濃度の低い薬剤を注入したマウスピースを1日約2時間、2週間ほど連続して装着するのが一般的です。「オフィス」と「ホーム」の両方を組み合わせて行う方法を「デュアルホワイトニング」と呼びます。
どの治療法を選ぶかは、患者さんが毎日確実にマウスピースをつけられるかどうかなど、生活習慣や患者さんの希望を初診時のカウンセリングで聞きながら、より効果手が確実な方法を選択します。
ーーホワイトニングに年齢制限はありますか。
永久歯がきちんと生えそろうまで、小児はできません。年齢の上限はありませんが、高齢者の場合、歯の外側の層であるエナメル質の石灰化が進んでおり、薬剤が浸透しにくくなるため、若い人よりも白くなるまでに時間がかかってしまうことはあります。
ホワイトニングを行う歯に被せ物や詰め物をしている人は、その部分は白くならないため注意が筆意うです。ホワイトニング終了後に、周りの歯の色に合わせて被せ物や詰め物をやり直す場合もあります。また、虫歯や歯周病の治療が必要な場合は、治療が終わって川ホワイトニングを開始するほうがよいでしょう。
ーーホワイトニングの効果が出ない人はいますか。
歯の色が暖色系(赤、オレンジ、黄色系)の人は白くなりやすく、寒色系(黒、グレー、青色系)の人は白くなりにくいことは知られています。着色物質の分子の構造の違いによるものです。
また、歯に縞模様のような着色がある場合も注意が必要です。特に根本の方にある縞模様は消えにくいです。ただ、効果が出るまでの時間に多少差があるということで、全く白くならないということではありません。
ホワイトニングが終了した後は、半年から1年に1℃くらいの頻度で「タッチアップ」と呼ばれる短期間の再ホワイトニングを続けると、長期的に効果を持続させることができます。15年以上タッチアップを続けている私の患者さんは、施術後と同じくらいの白さを現在も保てています。
セルフホワイトニングとは?
ーー最近は歯科医院以外でも受けられるようですね。スポーツジムや日良いサロンなどでは、「セルフホワイトニング」という言葉もよく耳にします。
「セルフホワイトニング」などと言われているものは、歯科医師や歯科衛生士がかかわらないため、過酸化物の薬剤を使用することができません。スポーツジムや美容サロンなどでは、化粧品や歯磨き粉の成分などが使われることが多く、歯質内部の漂白はほとんどありません。そのため、得られる効果は限定的です。歯の表面の着色を落とすくらいと考えてください。他にも歯の美白効果をうたった製品がドラッグストアなどで売られているのを目にしますが、日本国内のドラッグストアでは過酸化物を含む製品は販売されていません。
ーー安心できるホワイトニングに施術場所は、どう選べばよいですか。
日本歯科審美学会では、歯科医療機関で歯科医師の検査・診断の結果に基づいて、歯科医師あるいは歯科衛生士が、国によって製造・販売が認められている薬剤を用いて行うものを「医療ホワイトニング」としています。医療ホワイトニングに詳しい歯科医師が在籍している歯科医院で行うのが望ましいです。
ただ、チラシなどでは、それがわかりづらいことが課題です。また、歯科医師や歯科衛生士の中でも、日本で未承認の薬剤を使用している例も多いのが実情で、安心して施術を受けられる医療機関を探すのは難しいです。
受診を考える医会員があれば、事前に問い合わせをしてみて、ホワイトニングのメリットやデメリットを含めて十分な説明を受けられるか、術後のケアも含めてきちんと指導してもらえるかどうか、尋ねてみるといいかもそれません。費用は、自由診療のため、医療機関ごとにまちまちです。
ーーメリットとデメリットとは何ですか。
「医療ホワイトニング」には二つの面からメリットがあると考えられます。一つ目は、施術後の患者さんに起きる意識変化と行動変容です。ホワイトニングで歯が白く美しくなれば、その美しさを保ちたいとセルフケアや歯科医院での専門的ケアを続けるようになり、虫歯や歯周病の予防につながります。
二つ目は、薬剤そのものの効果です。ホームホワイトニングに主に使われる10%過酸化尿素はもともと米国で歯周病の治療薬として使われており、歯周病の原因菌に対する殺菌作用があるといわれています。また、ホワイトニング施術直後は、虫歯に対する抵抗性を向上させるフッ化物も取り込まれやすくなります。
一方、ホワイトニング直後にジュースやワインなど酸性度の高いものを口にすると、歯の表面がわずかに溶ける「脱灰」が進んでしまう可能性があります。また、カレーやコーヒーなどのような着色の濃い食べ物や飲み物はせっかくのhpワイトにング効果を低下させる懸念があります。ですから、そうしたものを避けるよう適切に指導できるかが大事です。
以前はホワイトニングをすると歯が弱くもろくなるのではと誤解されていましたが、その後の様々な研究で歯にはほとんど影響がないことがわかり、2010年代前後からは、むしろ虫歯や歯周病の予防に効果があるということがわかってきたのです。そうした「医療ホワイトニング」に関する情報がアップデートできている医療施設かどうかも、判断のポイントです。
yomiDr(ヨミドクター)
2024年05月29日
厚生年金の適用拡大へ 非正規の低年金問題の対応、企業規模条件撤廃
パートで働く人ら短時間労働者の厚生年金の加入を巡り、政府は現在「従業員101人以上」(10月から51人以上)としている企業規模の条件について撤廃する方針を固めた。非正規労働者の低年金問題に対応するため、給付が手厚い厚生年金の加入者を増やす。来年の通常国会に関連法案を提出する考えだ。
厚生年金の主な加入対象は、フルタイムで働く会社員。パートやアルバイトといった短時間労働者は現在、「従業員101人以上の企業で週20時間以上働き、月収8万8千円以上の人」「100人以下の企業で通常週30時間以上働く人」が対象となっている。
公的年金は「2階建て」で、1階部分にあたる定額の基礎年金(国民年金)は満額で月約6万8千円。2階部分の厚生年金の加入者を増やし、年金を上澄みできるようにすることが課題だ。
政府は、これまでも適用拡大を進めてきた。2022年には、対象企業の規模を「従業員510人以上」から「101人以上」に拡大。今年10月からは「51人以上」にする。字母条件を撤廃した場合、厚生労働省の試算では適用対象者4610万人に、新たに130万人が加わる。
ただ保険料は労使折半で中小企業などの負担が生じるため、同省の検討会では国からの支援を求める声が上がっている。
政府は、こうした方針を6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込む考えだ。
朝日新聞
厚生年金の主な加入対象は、フルタイムで働く会社員。パートやアルバイトといった短時間労働者は現在、「従業員101人以上の企業で週20時間以上働き、月収8万8千円以上の人」「100人以下の企業で通常週30時間以上働く人」が対象となっている。
公的年金は「2階建て」で、1階部分にあたる定額の基礎年金(国民年金)は満額で月約6万8千円。2階部分の厚生年金の加入者を増やし、年金を上澄みできるようにすることが課題だ。
政府は、これまでも適用拡大を進めてきた。2022年には、対象企業の規模を「従業員510人以上」から「101人以上」に拡大。今年10月からは「51人以上」にする。字母条件を撤廃した場合、厚生労働省の試算では適用対象者4610万人に、新たに130万人が加わる。
ただ保険料は労使折半で中小企業などの負担が生じるため、同省の検討会では国からの支援を求める声が上がっている。
政府は、こうした方針を6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込む考えだ。
朝日新聞
2024年05月28日
❝高齢者の定義❞65歳から70歳に引き上げとの提案で武見厚労相「年金支給開始年齢の引き上げ考えていない」
政府の経済財政諮問会議の民間議員が、「65歳以上」という高齢者の定義を5歳引き上げて、「70歳以上」に引き上げることを検討すべきとの提言が出たことについて、武見敬三厚労相は28日午前、「年金の支給開始年齢の引き上げは考えていない」と明言した。
この提案は、23日の経済財政諮問会議で、民間メンバーである経団連の十倉雅和会長、証券アナリストの中空麻奈氏、経済同友会の新浪剛史代表幹事、経済学者の柳川範之氏が、身も心満たされた、誰もが活躍できる社会・ウェルビーイングの高い社会をいかにして実現するのかというテーマで、全ての世代でリスキリング(学び直し)を推進すべきという文脈の中で出したもの。「高齢者の健康寿命が延びる中で、高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべき」との提言だが、SNSでは、「高齢者の定義」がトレンドワード入りした。「仁瀬尾100年死ぬまで労働という話」「年金支給開始の年齢を70歳にするための布石としか思えません」などの書き込みが相次いだ。
この提言について聞かれると武見厚労相は、「現在の年金制度は将来世代の負担を過重にしないように2004年改正において保険料の上限を固定した上でその範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドをすでに導入している」と説明し、「高齢者の定義にかかわらず、年金の支給開始の年齢の引き上げを行うということは、考えておりません」と、年金支給開始年齢の引き上げについて明確に否定した。
また原則65歳以上で要介護認定を受けた人がサービスを利用する介護保険制度においても、「直ちにその範囲を見直すことは考えていません」と述べた。
FNNプライムラインオン
この提案は、23日の経済財政諮問会議で、民間メンバーである経団連の十倉雅和会長、証券アナリストの中空麻奈氏、経済同友会の新浪剛史代表幹事、経済学者の柳川範之氏が、身も心満たされた、誰もが活躍できる社会・ウェルビーイングの高い社会をいかにして実現するのかというテーマで、全ての世代でリスキリング(学び直し)を推進すべきという文脈の中で出したもの。「高齢者の健康寿命が延びる中で、高齢者の定義を5歳延ばすことを検討すべき」との提言だが、SNSでは、「高齢者の定義」がトレンドワード入りした。「仁瀬尾100年死ぬまで労働という話」「年金支給開始の年齢を70歳にするための布石としか思えません」などの書き込みが相次いだ。
この提言について聞かれると武見厚労相は、「現在の年金制度は将来世代の負担を過重にしないように2004年改正において保険料の上限を固定した上でその範囲内で給付水準を調整するマクロ経済スライドをすでに導入している」と説明し、「高齢者の定義にかかわらず、年金の支給開始の年齢の引き上げを行うということは、考えておりません」と、年金支給開始年齢の引き上げについて明確に否定した。
また原則65歳以上で要介護認定を受けた人がサービスを利用する介護保険制度においても、「直ちにその範囲を見直すことは考えていません」と述べた。
FNNプライムラインオン