
高齢化を背景に仕事と介護に追われる「ビジネスケアラー」は増加傾向で、経済産業省によると平成24年度に211万人だったが、ピークの令和12年に318万人に達する見込み。同年に介護離脱者が11万人に増え、仕事と介護の両立困難による生産性低下などを合わせた経済損失が、約9兆2千億円に上る見通しだ。
政府の施策で先行した子育て支援に比べ「介護への理解度は低く、社会全体の対応が不十分だ」(政府関係者)との見方がある。特に人手不足に悩む中小企業では、多様な働き方が導入できなかったり、介護を要する社員の状況も把握しきれなかったりし、支援が行き届いていないと指摘される。
そのため政府は、地域の中小企業を対象とする「介護両立支援ハブ」を整備。経営者や人事担当者らに働き掛けるほか、介護関連サービスの情報提供やセミナーの実施、地域共通の相談窓口の設置を進める方針だ。
経産省は8月末から12月末にかけて実証実験を実施する予定で、運営事業者を募集。事業の効果やどの程度の財政支援が求められるかなどを見極めたうえで、来年度にも支援拠点を整備したい考えだ。
産経新聞