2024年08月24日

「核汚染水」の呼称今も 中国で広がる風評被害 処理水放出1年

 中国が東京電力福島第1原発で生じた処理水の海洋放出を理由に、日本産水産物の湯集を禁止してから24日で1年。

 日本側の訴えにもかかわらず、中国はいまだに「核汚染水」と言い続け、日本産品の風評被害が広がっている。日中政府は協議を始めたものの、解決の糸口は見えない。

◇日本産ゼロ
「(処理水に関する)国際的な監視制度を作るべきだ」。王毅共産党政治局員兼外相は7月下旬、上川洋子外相との会談で従来の主張を繰り変 えした。

 中国政府は昨年8月、海洋放出に激しく反発し、直後に日本産水産物の全面禁輸に踏み切った。中国貿易統計によると、日本産魚介類の輸入はは観賞魚を除き、昨年9月からゼロのまま。日本産を使っていた飲食店は産地の変更を迫られた。

 北京市内にある日本食レストランは、マグロを日本産からスペイン産に変えた。新たな調達先を確保したため、日本産の輸入が再開されても、戻すかどうかはわからないという。

 中国では日本製品の不買運動も起きた。標的となった食品や化粧品は販売が急減。北京の日経食品大手は「取引先に商品を置いてもらえなくなった時期もある」(幹部)と打ち明ける。

 税関で日本から輸入された菓子や飲料の通関が拒否されたり、追加手続きを求められたりするケースも続出。売り上げは完全には戻っておらず、「状況は厳しいままだ」(先の日系食品大手)という。

◇中国漁師にも影響
 だが、禁輸の影響は中国政府の想定を超えて広がった。北京の40代女性は「しばらく海産物を食べていない」と話す。中国産にも風評被害が及んでおり、SNSには収入の急減など窮状を訴えtる漁師の投稿が相次いでいる。

 中国最大の漁港がある浙江省舟山の海鮮市場を訪れると、買い物客の姿はまばらだった。今年1〜3月期の同誌への旅行者数(外国人を除く)は前年同期比8.8%減と、全国平均を大幅に下回る。市場で話を聞こうとしたが、「日本人とは話したくない」とあしらわれた。

 中国政府は国内で流通する海産物に独自の厳格な放射性物質検査を行っているとして、安全性をアピールしてきた。しかし、舟山の水産業者は「海はつながっている。日本産は危険で、中国産は安全なんて無理がある」と指摘する。

 中国では官製メディアやSNSを通じ、処理水が今春にも中国沿岸に到達するとの専門家の見方も広まった。舟山市民の男性は「『核汚染水』は日本では特に問題視されていないんだろう。中国では誰かが煽りすぎたんだ」と、政府の厳しい対応を疑問視した。

 舟山漁港の漁期は今月から始まった。ただ出漁船は去年より少ないという。ある漁師は「既に廃業した仲間もいる。生活は皆苦しい」と訴えた。政府からの支援は「特にない」と肩をすくめた。
                                  時事通信社    
posted by 鏑木歯科 at 09:39| 鏑木歯科日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

周辺海域、異常確認されず 原発処理水放出から1年 中国なお禁輸・東電福島第1

 東京電力福島第1原発にたまった処理水の海洋放出開始から24日で1年。

   原発処理水.png

 これまでにおよそ6万トンが放出された。政府と東京電力ホールディングスの分析では、周辺海域で安全基準を超える異常値は確認されていないが、中国は日本の水産物輸入を停止したままで、禁輸措置の撤廃が課題となる。放出完了には30年程度かかる見通しだ。

 全国漁業協同組合連合会の坂本雅信会長は23日、斎藤健経済産業相を経産省に訪ね、「日本の水産物は大変な被害を受けた。輸出が戻ったわけではなく、中国の対応は我々ではどうしようもない」と、禁輸措置撤廃への外交努力を要請した。

 国際原子力機関(IAEA)は放出開始後、現地調査を2回行い、放出は「国際安全基準に合致している」との見解を示した。政府はIAEAの評価も支えに科学的な安全性を訴え、中国に禁輸措置の即時撤廃を繰り返し求めてきたが、実現は見通せていない。

 きんゆが響き、日本の2024年1〜6月の農林水産物・食品の輸出額は前年同期比1.8%減の7013億円と、上半期として4年ぶりに減少。東電は、販路を失った漁業者らへの賠償額を約753億円と見積もる。

 放出作業を担う東電では22日、原発事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)を試験的に始めて取り出す作業が手順ミスで中止となった。斎藤氏は坂本氏との会談で「東電に対しては緊張感をもって必要な対応を講じるよう指示した」と説明した。その上で、処理水の放出は「福島の復興と廃炉を着実に進めていくために避けては通れない」として、「今後数十年に渡ろうとも、処理水の処分が完了するまで政府として責任を持って取り組んでいく」と述べた。
                          時事通信社

posted by 鏑木歯科 at 08:05| 鏑木歯科日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする