「より高く」と公募意見
これまで20代半ばぐらいまでが相場だった任官できる年齢が6歳引き上げられた結果だ。従来は18歳以上の若い隊員、高校を卒業したての新人隊員で養成され、「下士官」である曹クラスになってさらに活躍することが理想とされてきた。しかし、2014年度から17年度まで4年連続で主力隊員の採用数が計画を下回り、人員不足はより深刻となり、32歳で入隊OKとなった。

8月に省令改正のため行った防衛相のパブリックコメント(意見公募)はその是非を問うたものだった。メールなどで一般から意見を募ったところ、13件すべて(公開分)が「賛成」。中には「国家へ奉仕したいと考える国民が、年齢のためにそれを諦めなくても済むように、年齢制限はより高く設定すべき」「引き上げ年齢について、もう少し引き上げてよいではないか」「士や曹に限らず幹部についても、民間からの登用を進めるべきと考えています」など、さらなる採用年齢上限の引き上げを期待したり、民間で勤務経験のある人を患部にリクルートする案もあった。

反対意見が全くなく、一糸乱れず賛成意見で埋め尽くされたのは自衛隊関係者の方が多かったのだろうか・・・
53歳定年引上げ?
「応募者数そのものは減少傾向にあり、人材を確保するために自衛官の定年延長など各種の施策について検討している」。2018年8月に菅官房長官は記者会見で、階級に応じて53歳からとなっている自衛官の定年引上げの可能性について言及した。
「精強さを保つため、若年定年制及び任期制という制度を採用」。「退職年齢は、幹部・准尉・曹で大部分が54歳〜56歳、士で大部分が20歳代という若さです」。防衛省・自衛隊のホームページでは民間企業や一般公務員とは違う定年制について、こういう文章で説明されている。
採用上限や定年制の引き上げは、有事や災害派遣で力を発揮する自衛隊全体の高齢化をもたらすことになる。ある意味、少子化が進む日本社会の現実を反映した措置だった。ただ、これまでの「精強さを保つため」との整合性は問われるであろう。
共同通信