複数の日米両政府関係者が明らかにした。アフガニスタン戦争などの対テロ戦が本格化した11年代以降、海兵隊は大規模な地上戦に備えて戦車や大砲などの重火器部隊を強化してきた。しかし、近年は中国が東シナ海で軍事活動を活発化させていることを受け、島しょう部での戦いに対応できる体制構築を急いでいる。MLRはこの中枢を脱なう機動部隊で、長射程の対艦ミサイルや防空機能を備えることになる。
海兵隊は、計三つのMLR創設を予定しており、昨年3月には米ハワイに初めて発足させた。日米の外務・防衛担当閣僚による2プラス2では、残る二つのうち、一つを沖縄に置く方針を米国が表明する見通しだ。日本側も指示を伝えるとみられる。もう一つは米グアムへの配置が有力視されている。
MLRは有事に際、敵の勢力圏内にある最前線の島しょ部にとどまって戦うことが想定されている。具体的には、小規模なチームに分散して隔離等へ展開し、敵からの攻撃をかわしながら相手の戦艦や航空機の進出を食い止め、制海権の確保を目指す。
日本の南西諸島や台湾周辺は、全域が中国軍のミサイル射程圏に入っており、いったん戦闘が始まれば中国が海空で優勢になる可能性が高いとみられている。戦力を追加で投入できるようになるまでの間、最前線の部隊がいかに相手の侵攻を食い止めるかがカギを握ることになり、MLRには中心的な役割が期待される。
海兵隊は今後、沖縄に駐留する既存の部隊に対艦ミサイル機能などを新たに備えさせる一方、重火器を削減するなどして、MLRに衣替えする見通しだ。部隊の規模はハワイと同程度の2000人前後になるとみられる。沖縄全体で海兵隊を約1万人とする米軍再編計画には変更はない見通しだ。
南西諸島防衛をめぐっては、陸上自衛隊も那覇市の第15旅団(約2200人)を3000人前後の旅団に格上げすることを決めるなど、強化を急いでいる。MLRが創設されれば、共同訓練などを通じて日米が一層連携を深めることが可能となる。
読売新聞
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