松坂屋高槻店(大阪府高槻市)の「スカイランド」は、1979年の百貨店開業時から営業している。今では関西唯一の屋上遊園地となった。
約1200平方メートルの敷地に、ゴーカートやキャラクターの乗り物など約30台の遊具と約10台のクレーンゲームが稼働する。
朝日新聞社は10月、日本百貨店協会に加盟する全170店舗を対象に、常設の屋上遊園地があるかを電話で尋ねた。
今も営業をしていると答えたのは、松坂屋高槻店のほか、松坂屋名古屋店(名古屋市)大和香林坊店(金沢市)、いよてつ高島屋(高松市)、浜屋百貨店(長崎市)の4店舗だった。
このほかにも小規模な遊具コーナーを設けている百貨店があったが、屋上遊園地という認識ではなかった。
近現代史が専門で、百貨店関連の著書があるノンフィクションライター夫馬信一酸(64)によると、屋上遊園地の起源は100年以上前までさかのぼり、1903年に東京・日本橋の白木屋に木馬やシーソーが置かれたことが始まりとされるという。20年代後半以降は新たな百貨店の開業とともに、電動遊具や動物園がある屋上遊園地が新設されていった。
設置が加速したのは戦後の高度経済成長期。百貨店が次々とでき、屋上遊園地も「必須アイテム」のように造られた。
飛行機型のゴンドラが回転する乗り物など、大型の電動遊具も増加。休日には様々なショーが開かれるなどして大盛況だったといい、家族連れの集客装置として大きな役割を果たしていた。
だが、郊外型ショッピングセンターの盛況、バブル崩壊や2000年代の不況など、百貨店を取り巻く環境は厳しさを増していく。
テーマパークの開園などレジャーも多様化。集客装置としての屋上遊園地の役割は維持費と見合わなくなり、00年前後から徐々に閉院していったとみられる。今では屋上を、ビアガーデンや休憩スペースとして活用する百貨店の増えている。
建て替えや耐震工事などを機に閉園を選択した百貨店もある。大阪・梅田の阪神百貨店(大阪市)の屋上遊園地は、1980年代後半に1日1千組以上の来客数を誇ったが、店舗の建て替えを機に2014年に閉園した。まるひろ川越店(埼玉県川越市)も「耐震工事」に伴って19年に閉園。今年9月には横浜高島屋(横浜市)が営業を終えた。
朝日新聞
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