日本側の訴えにもかかわらず、中国はいまだに「核汚染水」と言い続け、日本産品の風評被害が広がっている。日中政府は協議を始めたものの、解決の糸口は見えない。
◇日本産ゼロ
「(処理水に関する)国際的な監視制度を作るべきだ」。王毅共産党政治局員兼外相は7月下旬、上川洋子外相との会談で従来の主張を繰り変 えした。
中国政府は昨年8月、海洋放出に激しく反発し、直後に日本産水産物の全面禁輸に踏み切った。中国貿易統計によると、日本産魚介類の輸入はは観賞魚を除き、昨年9月からゼロのまま。日本産を使っていた飲食店は産地の変更を迫られた。
北京市内にある日本食レストランは、マグロを日本産からスペイン産に変えた。新たな調達先を確保したため、日本産の輸入が再開されても、戻すかどうかはわからないという。
中国では日本製品の不買運動も起きた。標的となった食品や化粧品は販売が急減。北京の日経食品大手は「取引先に商品を置いてもらえなくなった時期もある」(幹部)と打ち明ける。
税関で日本から輸入された菓子や飲料の通関が拒否されたり、追加手続きを求められたりするケースも続出。売り上げは完全には戻っておらず、「状況は厳しいままだ」(先の日系食品大手)という。
◇中国漁師にも影響
だが、禁輸の影響は中国政府の想定を超えて広がった。北京の40代女性は「しばらく海産物を食べていない」と話す。中国産にも風評被害が及んでおり、SNSには収入の急減など窮状を訴えtる漁師の投稿が相次いでいる。
中国最大の漁港がある浙江省舟山の海鮮市場を訪れると、買い物客の姿はまばらだった。今年1〜3月期の同誌への旅行者数(外国人を除く)は前年同期比8.8%減と、全国平均を大幅に下回る。市場で話を聞こうとしたが、「日本人とは話したくない」とあしらわれた。
中国政府は国内で流通する海産物に独自の厳格な放射性物質検査を行っているとして、安全性をアピールしてきた。しかし、舟山の水産業者は「海はつながっている。日本産は危険で、中国産は安全なんて無理がある」と指摘する。
中国では官製メディアやSNSを通じ、処理水が今春にも中国沿岸に到達するとの専門家の見方も広まった。舟山市民の男性は「『核汚染水』は日本では特に問題視されていないんだろう。中国では誰かが煽りすぎたんだ」と、政府の厳しい対応を疑問視した。
舟山漁港の漁期は今月から始まった。ただ出漁船は去年より少ないという。ある漁師は「既に廃業した仲間もいる。生活は皆苦しい」と訴えた。政府からの支援は「特にない」と肩をすくめた。
時事通信社
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