本人は復職するつもりでも、産後の体調や子供のことは、実際に経験してみないとわからない。それでもなお、育休後に退職した人だけが強く責められるのはなぜなのだろう。この言葉が違和感とともに使われる背景には、「制度は献身的に働く人が使うもの」という、いまだに根強い労働観が横たわっている。
いまZ世代・若者が問い直しているのは、個人のモラルではなく、人生全体を見据えた働き方そのものの前提だ。
エキスパートの補足・見解
「育休もらい逃げ」という言葉を見かけるたびに、また少し息苦しい言葉が生まれたなと感じる。育休後に復職せず退職することが強く批判される背景には、「制度は長く献身的に働く人が使うもの」という考え方が、今も根強く残っているのだと思う。
一方で、Z世代や若い世代にとって育休は、会社への忠誠心を示すためのものではなく、人生全体の中で働き方を見直すための制度だ。
実際、復職するつもりで育休に入っても、産後の体調や子供の病気、発達のことは、産んでみなければわからない部分が多い。ようやく復帰しても、子供の発熱で早退が続けば「辞めたほうがいいのでは」と言われ、やめれば「もらい逃げ」と言われる。どちらを選んでも責められてしまうのは、あまりに厳しい。
病気休職では復帰できない人が一定数いると想定されているのに、育児休職だけが「全員が健康に戻れる前提」で語られても不自然だ。問題は個人のモラルではなく、育児を経ても戻りたいと思える仕事や環境を用意できるかという企業側の構造にある。育休中の転職も、逃げではなく、これからも働き続けるための現実的な選択肢の一つなのではないだろうか。
道満綾香
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